【UIUXデザイナー目指す人必見】UX検定を受けてみた話

デザインブログ

こんにちは!

私は事業会社のUIUXデザイナーとして働いています。
2023年5月に実施されたUX検定という資格を受験しました。
今回で第3回目とまだまだ新しい検定です。

この記事では、私がデザイナーとしての視点からUX検定に取り組んだ経験や受験に役立つ勉強方法、合格のポイントについてお話しします!

 

この記事はこんな方におすすめです
  • UI/UXデザインに興味があり、専門知識を身に付けていきたい方
  • デザイン思考を社内に広めていきたい方
  • 人間中心設計(HCD)スペシャリスト・専門家を目指している方
  • よりビジネス視点で知見を広げていきたいデザイナー

 

1.UX検定とは?

UX検定ってどんな検定?

UX検定は、ユーザーエクスペリエンス(User Experience)に関する資格で、日本のUXインデリジェンス協会が主催しており、ユーザーエクスペリエンスに関連するスキルや知識を評価するための検定です。

UX検定では、ユーザーインターフェース(UI)の設計や利用者調査、ユーザビリティテストなど、ユーザーエクスペリエンスに関わるさまざまな領域の知識を問われます。合格することで、自身のユーザーエクスペリエンスの専門性を証明することができます。

UX検定の合格者は、UXに関する知見を持つ者として人材価値を上げることが期待されます。
また、UXデザイナーやUIデザイナーなどの専門業種の方で、将来HCDスペシャリストや専門家の資格を目指して取り組んでいる方は、体系的にUXを学ぶことで今後の業務で大いに役立てるでしょう。

 

UXインテリジェンス協会とは?
UX(ユーザーエクスペリエンス)の専門団体であり、ユーザーエクスペリエンスに関する知識や情報の共有、教育・研修の提供、コミュニティの形成などを目的として活動しています。UXデザイナーやリサーチャー、エンジニア、マネージャーなど、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が参加し、ユーザーエクスペリエンスの向上を推進しています。詳しくはこちら

 

受験対象者とレベルは?

UX検定は、全ビジネスパーソンを対象としています。(※学生の方でも受験可能だと思います)

受験者は、UXやHCD(Human-Centered Design)に関する概念を理解し、一連のプロセスに関する基礎知識を有していることが求められます。このレベルはUXジェネラリストレベルと呼ばれ、幅広いバックグラウンドを持つ方々が受験できます。

 

UXに関するスキルレベル

UX検定の概要ページではUX検定で求められるスキルレベルについて書かれていました。

UX検定では、以下のような知識やスキルが求められます。

・UXの基本的な概念や原則の理解
・HCDのプロセスと手法に関する知識
・ユーザビリティテストやユーザリサーチの基礎的な理解
・UXデザインのツールや方法論の基本的な知識

UX検定を受験することで、ビジネスパーソンがUXやHCDの基礎知識を身につくので、組織やプロジェクトのUX改善に貢献することが出来そうですね。

 

2023年に新設されたHCD検定について

2023年には、「HCD基礎検定」という名称で人間中心デザイン(HCD)基礎知識体系をベースとした検定試験制度が新たに設立されました。

HCD基礎検定は、HCDの基礎知識を評価するための検定です。HCDとは、ユーザーのニーズや要求を中心に置き、優れたユーザーエクスペリエンスを提供するためのデザイン手法です。

この検定では、以下のような内容が評価されます。

・HCDの基本的な概念と原則
・ユーザリサーチやユーザーインタビューの基礎的な手法
・ユーザーのニーズや要求を理解するための人間工学の基礎知識
・プロトタイピングやテストの基本的な方法論

HCD基礎検定の合格は、HCDに関わる分野での基礎知識を証明することになります。また、HCD基礎検定はUX検定の一部を包含しており、UX検定に合格した場合は、HCD基礎検定においても合格したと認められます

詳しくはHCD基礎検定の公式ウェブサイトにあるQAをご参照ください。

 

2.勉強法と合格のポイント

まずは受験に向けての概要紹介

受験手続きと申込み方法
対象者 ビジネスパーソン全般(受験資格制限無し)
実施形式 オンライン実施(自宅受験)
試験形式 知識問題(単一選択式:100問)
試験時間 100分
出題範囲 シラバスより出題(詳細は公式サイト参照)
受験料 税抜き9,900円(税込み10,890円)
申込方法 日経ビジネススクール内専用サイトよりお申込み

上記がUX検定の募集要項です。
試験はオンラインで行われ、自宅で受験することができます。
出題は単一選択式の知識問題で、試験時間は100分です。
出題範囲はシラバスに基づいており、受験料は税込みで10,890円です。

ただし、学習推薦図書が4冊あり、こちらも別途費用がかかります

詳しくは下記の「学習推薦図書」に記載しています。
出題範囲を効率よく勉強するためにも購入をお勧めします。

 

試験の形式と時間配分

試験はオンラインで行われます。受験者は専用ページにログインし、自宅などの環境から受験することができます。特に心配はする必要はありませんが、受験前に自身のPCスペックが要件を満たしていることを確認しておきましょう。

試験時間は全体で100分です。問題を進めていく中で、後で見返したい問題にはフラグを付けることができるため、試験終了後に振り返りたい問題があれば、フラグを活用して再確認することができます。

解くのに時間がかかりそうな問題は一旦回答してフラグを付けておきましょう。

 

筆者はどんな勉強をやってた?

まず初めに募集要項に記載していた「学習推薦図書」について紹介します。

 

『アフターデジタル2 UXと自由』
著者: 藤井 保文 出版社: 日経BP社
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単行本:2,300円(kindle版2,178円
※2023年5月時点での金額です。

次に紹介するUXグロースと、部分的に内容が似ている箇所もあるが、UXにまつわる事例を交えてアフターデジタルについて語っている。特に中国のテンセントやアリババを例にDX事例として紐解いて説明している箇所が読み応えあり。日本と中国のDX面での比較が印象に残っている。索引が出来ない形式の本のため、本書を読んで理解し、共感するレベルまで読み込むことをお勧めする。

 

『UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論』
著者: 藤井 保文 ほか 出版社: 日経BP社
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単行本:3,520円(kindle版3,168円
※2023年5月時点での金額です。

4冊の中で一番理解するのに時間がかかった。バリュージャーニーやUXグロースモデルなど聞き慣れない言葉が出てくる。「個人」ではなくあくまで「組織」としてUX課題にどう向き合うか、どう取り組むかについての内容が大きく取り上げられている。「アフターデジタル2 UXと自由」と同じく、試験のための知識理解というよりは、考え方を学ぶ本である。索引が出来ない形式の本のため、本書を読んで理解し、共感するレベルまで読み込むことをお勧めする。

 

『人間中心設計入門(HCDライブラリー第0巻)』
著者: 山崎 和彦 ほか 出版社: 近代科学社
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単行本:2,750円(kindle版2,475円
※2023年5月時点での金額です。

上2つと比べてUXに関連した技術や知識に寄った内容。冒頭での複数事例紹介、ユーザビリティテストやデザイン思考などのUXにまつわる知識、UXやHCDという概念が生まれた歴史的な変遷が書かれている。個人的に読む難易度はやや高め

 

『ユーザビリティエンジニアリング: ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法』
著者: 樽本 徹也 出版社: オーム社
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単行本:2,750円(kindle版2,475円
※2023年5月時点での金額です。

4冊の中では一番技術・知識系統の内容に寄った1冊。プロトタイプやインタビューなどを通してのユーザー調査の技法、ユーザビリティテストやその評価について細かく記載されている。最初のとっかかりとしておすすめ。比較的読みやすい1冊だと感じる。

 

推薦図書4冊を単行本で購入すると12,000円近くします

受験料と合わせると2万円を超えてくるため、学習のための投資とはいえ少し痛いですね。

 

また、過去問がなく対策のしようが無かったのでシラバスで出題範囲を確認しながら、推薦図書を読み込むしか出来ませんでした。下記がシラバスの一部なのですが、重要ワードを押さえながら推薦図書を読み進めていくと良いです。

 

実際に受験した方のブログも見たりしましたが、まだまだ新しい資格試験なのか情報が乏しかったです。
(そのために少しでも役立てる情報を提供したいと思ったのが今回記事を書いたきっかけでもあります)

特に索引ができない2冊のテキスト。これに関してはとにかく付箋紙やマーカーを多く付けました。
覚えるというより背景を理解し、共感することに時間をかけました。特にUXグロースモデルの青い本は内容が難しいので、余裕をもった学習時間を確保して読み込むことをお勧めします。

試験1ヶ月ほど前になると、試験に役立つ動画教材をメールでお勧めしてくれます。しかし有料で3万円以上したので私は購入はせず、本を読み込んで試験に臨みました。

 

いざ受験!勉強の成果は?

受験の結果はまだ来ていませんので、実際に受験した感想を書いていきます。

正直暗記だけでは乗り切れないと感じました。しかし理不尽な難易度でもなかったと感じます。

試験は4択形式で行われ、各問題について選択するのにあまり時間を要することはありませんでした。フラグを付けることで見返せるため、分からないところは一旦勘で回答して進めました。進め方としては間違いなかったのか、全体としてスムーズに問題を進められたため、40分ほど余裕がありました。この余った時間を利用して、問題の見直しに十分な時間を取ることができたと思います。

試験の印象として、特にUXに取り組む上での考え方についての問題が多く出題されていると感じました。受験者のUXに対する思考やアプローチに焦点を当てており、知識だけでなく、実践的な考え方や視点も問われる検定だと思いました。

試験によって出題される傾向が違う気がします。
今回の試験で言うと、「人間中心設計入門」の内容をしっかり読み込んでおくべきだったかなと感じました。

 

3.UX検定を受けてみて

受験後の感想

知識5割UXを考える上での考え方が5割の印象です。

ITパスポート試験のように過去問やその解説など対策に必要な情報があまりなかったので、推薦図書を覚えるようにしましたが、知識に寄った問題が全てではなく、ビジネスパーソンとしてUXを考えた時に何が大事なのか、そんな問いも多かったように感じました。

故に1+1=2という決まりきった答えではなく、もっともらしい考えを選択肢から選ぶようなものが多かったです。とはいえ理不尽な難しさでも無いと思います。

感覚では一通り本を読んでいれば6〜7割程度は行くんじゃないかという印象で、設問自体言っていることはそんなに難しくは無いのですが、微妙な言葉の言い回しによる選択肢が多かったので、正直結果が来ないと分からないです。

 

UIUXの需要は高まっているからこそお勧めしたい資格!

UIUXの需要はグローバルレベルで急速に拡大しています。ユーザーエクスペリエンスが成功を左右する現代のビジネス環境において、優れたUIUXデザインは企業の競争力を向上させる重要な要素となっています。

そして昨今ではUX検定が注目されるようになりました。UX検定は単にUIデザイナーやUXデザイナーに関連するものだけではありません。むしろ、企業全体がUXを意識し、組織を見直していく必要があることを推薦図書を読んで強く共感しました。組織全体でUXを重視し、顧客とのエンゲージメントを向上させることは、競争激化する市場で差別化を図るための重要な戦略だということが理解できました。

ユーザーの行動を全体的に理解し、よりよいUXを設計することが「人のためのデザイン」という、より本質的な課題解決に繋げていけるのではと思います。

今までの考えをアップデートさせることが出来たことと、デザインに対してもう1段階上の考え方を身につけられたと感じています。

答えのない業界なので、一度UXについてじっくりと考える時間をこの検定を通して取ってみてはいかがでしょうか。

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