私はデザイナーとして、UI/UXデザインに興味を持ち、IT企業に転職しました。
職場ではIT分野で共通に使用される言語や概念を理解する必要があったため、2023年3月にITパスポート試験を受験し、合格しました!
この記事では、デザイナーとしての視点から、ITパスポート受験に必要な勉強方法や注意点などを紹介していきます。
この記事はこんな方におすすめです
- デザイナーでありながら、IT分野で共通に使用される言語や概念を学びたい方
- UI/UXデザインに興味があり、IT知識を身に付けてより深くデザインに取り組みたい方
- IT企業での業務を始める前に、ITパスポート試験に合格したい方
- ITパスポート試験に合格したいが、勉強方法や注意点について不安を感じている方
1.はじめに
ITパスポートとは?
ITパスポート試験は、ITの基礎知識を身につけるための試験です。
ITに関する基本的な用語やシステム開発の基礎、コンピューターの構成など、ITに関する総合的な知識を問われます。試験はコンピューターベースで行われ、国家資格として認定されています。
IT業界に関わる方だけでなく、ビジネスマンや学生など、幅広い人々に受験されています。
(HPより抜粋)
ITパスポートを勉強するきっかけ
2023年1月に、私は転職で広告代理店→IT企業にデザイナーとして入社しました。
しかし同じデザインの職種とはいえど業界が違うのか、
MTGでの話で何いってるのか全くわからず…
領域の違いにかなり困惑していました。
以前までは、LPやバナーなどの広告デザインを中心に画面を制作することがメインでした。
特別IT知識が必要ではなかったため、いざ入社してからの必要な知識のギャップに苦戦…
新しい共通言語を学ぶ必要があることを痛感しました。
そこでITに関する最低限必要な知識を身につけるために取り掛かったのが、
ITパスポートの資格受験です。
結果的にはこの試験を受けることで、
IT業界での共通言語や基本的な知識を習得することができたと感じます。
デザイナーという立場で今後コミュニケーションを取る上で、
必要な勉強だったと実感しています。
筆者の受験結果は・・?
試験内容は体感少し難しく感じたのですが、合格圏内でした!
1000点満点中785点で、約8割近く取ることができました。
試験勉強はどのぐらいの時間やったの?
試験勉強は約1ヶ月半で、合わせて50〜70時間程度の勉強時間だったと思います。
仕事をしながら勉強をしていたため、
平日は30分〜1時間、
休日は1時間〜1.5時間程度の勉強をすることで合格することができました。
(行きつけのカフェが出来たのは嬉しい)
比較的短期間で取得できたため、仕事のスキルアップや
転職活動などに取り組む上で有用な資格だと思います。
どのくらいの出費だった?
資格取得までの出費は以下です。
参考書:約2,000円(税込)
受験料:7,500円(税込)
1万円以下で国家資格を手に入れられるのはかなり魅力的です!
また、無料で過去問題を解くことができるサイトやアプリもあるので、
試験対策の環境はかなり揃っているといえます。
2.ITパスポートの勉強方法
勉強に使った書籍やオンラインコースなどの紹介
私の場合は大きく分けて
- 参考書
- 対策用のWebサイト
- 対策用のアプリ
の3つを利用しました。
参考書
SBクリエイティブから発売されている
『いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集』
対策用WEBサイト
対策用アプリ
『ITパスポート 全問解説』
この3つを駆使してコスパ良く勉強していました。
勉強のポイントや注意点
私の実際にやっていた勉強法を一例として紹介します!
あくまで個人差がある部分なので、参考程度に見ていただけたら幸いです。
参考書での勉強法
参考書は1回目はざっと読み、2回目は単語や意味に注目して付箋や蛍光ペンで印をつけ、3回目以降は索引を使って改めて単語の意味を理解するようにしていました。
サイトやアプリでの勉強法
サイトでは、過去の試験を受けて復習し、アプリでは過去問を一つずつ解きながら、答えと解説を確認して理解するようにしていました。
サイトはこのような感じで過去問が出題されます。
解説も細かく書いているのでここもしっかり抑えましょう。
アプリではジャンル別や年度別で過去問を解くことができます。
年度別過去問では実際に取れた点数も見れるので、
ここで7〜8割取れることを目標に過去問解いたり参考書で勉強すると良いです。
また、問題と答えだけを丸暗記するのではなく、解説文までしっかり読み込むことが試験対策では有効でした。
ただし、解説を読んでも理解ができない場合は、関連する知識や技術について検索して調べたり参考書の索引から調べましょう。問題解く中で試験内容に関連したワードが他にあればセットで調べて覚えると効率が良いです。
やって良かった2つの試験対策
私が実際に勉強しててやって良かったのは2つです。
- とにかく過去問(最低過去5年分)を解いて解説を読んで理解
- 最低2回以上参考書を読むこと
要は記憶を定着させることに特化したやり方です。
どちらも織り交ぜながら勉強をやっていましたが、最初だけまずは参考書を1回流し読みした後にとりあえずで1度過去問を解いてみると難易度がなんとなく把握できたので、後の勉強の方針を決めやすかったです。
過去問で間違えた箇所は、参考書の該当するページを改めて読み直して、自分が理解できていなかった部分を確認していました。そして1年分過去問解き終わったら参考書を2回目読んでみましょう。僕はここでグッと理解度が深まりました。
2回目からは1回過去問を解いてるので、どういう試験の出され方をするのかなんとなく感覚が掴めていました。付箋やマーカーを使って重要な部分に印をつけるようにしましたが、2回目熟読する時からこれをやるとどこが重要なのか、試験に出そうなのか印がつけやすかったです。
この方法は、自分が理解していなかった部分にフォーカスして勉強できるため、効率的に学習することができたと感じています。特に、過去問解答の解説を読むことで、参考書の内容がより実践的に理解できるようになりました。
出題箇所をより理解するために
理解力を高める方法として私がやっていたのは、例えば「RPA」や「RFID」などのキーワードについて検索し、実際の現場でどのように活用されているかの事例を調べていました。
例えば、「RPA」についてですと、「事務的作業の自動化」という言葉だけでは理解が難しいと感じたので、具体的な事例を探しました。会社の経費申請や社員の勤怠管理など、ルーティンワークが多い部門での導入事例が出てきたので、RPAの活用方法・メリットについて深く理解することができました。
このように、事例を調べることで、ITパスポート試験に出題される内容をより具体的に理解することができるため、記憶を定着させる上で有効だと感じました。
3.いざ受験!ITパスポート試験の概要
試験の出題範囲や形式
「ITパスポート」の出題範囲は、ITの基本的な知識を問う資格試験で、出題される分野は、
- 情報システム
- プログラミング
- ネットワーク
- データベース
- セキュリティ
- マルチメディア
の6つで、それぞれの分野で問われる内容が明示されています。
試験内容としては以下の通りです。(※2023年5月時点)
出題形式は、選択式の4択から回答する形式となっており、問題によって配点が変わっているそうです。(ここは詳しくわからず)
また、受験者は試験時間が120分で、正答率が60%以上で合格となります。
試験の難易度や合格率
まずは過去5年分の合格率を見てみましょう。
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和4年度 (2022~2023年) |
253,159 | 231,526 | 119,495 | 51.6% |
令和3年度 (2021~2022年) |
244,254 | 211,145 | 111,241 | 52.7% |
令和2年度 (2020~2021年) |
146,971 | 131,788 | 77,512 | 58.8% |
平成31/令和元年度 (2019~2020年) |
117,923 | 103,812 | 56,323 | 54.3% |
平成30年度 (2018~2019年) |
107,172 | 95,187 | 49,221 | 51.7% |
こうして見てみるとITパスポート試験の合格率は比較的高めであり、直近5年間の平均合格率は約5割ほど。
他の資格試験に比べると難易度は比較的低いと言えます。
※ただし、難易度は個人差があり、試験対策の状況や試験当日の調子によって合格率は大きく変動することもあります。
4.試験を受けた感想
試験の難易度や問題の傾向について
ITパスポート試験は、過去問とその解説を読み込むことで点数を確実にできる試験だと感じます。
私自身、過去問を解くことで7〜8割は取れていたため、しっかり1〜2ヶ月ほどの期間で対策をやっておけば十分合格が狙えます。
ただし1つ注意点があります。
過去と全く同じ問題は出題されないことです。
類似した問題は出題されますが、単語の意味や用法を正しく理解していないと微妙な選択肢の違いに苦戦するので焦らず落ち着いて解いていきましょう。
私自身、頻出のリスクマネジメントに関する問題や、プログラミングに関する非言語問題が苦手だったため、一旦飛ばして後で見返して解くようにしました。
幸い時間的な余裕はあったように感じます。
時間を要するのかどうか問題文を軽く読んで見極めるのが重要です。
焦るほど一問だけに時間をいっぱい使ってしまう・・というのだけは避けたいです。
デザイナーとしての視点で試験に取り組んだ感想
試験受験を通じて、自分の役割がプロジェクトや事業全体にどう関わっているのか、デザインやコーディングがサイト運営にどのように影響を与えるのかということを深く考えることができました。
WEBデザインに関連してコーディング知識やサーバーとの連携についての問題があり、私自身がWEBデザインという業務上、表面的な技術と知識しか持っていなかったため、裏側での役割を知ることができて良かったと感じます。
試験受験を通じて、自分の業務がプロジェクトや事業にどう貢献しているのかを改めて理解することができたと同時に、より多くの技術や知識を身につけ、業務をより一層効率的にこなせるようになりました。
5.ITパスポート取得後のメリットとデメリット
デザイナーとしてのスキルアップにつながるか
ITパスポートを取得したことで、IT企業に勤めるものとしてのスキルアップにつながったと感じています。
以前は、WEBサイトの表側と裏側について断片的にしか理解しておらず、全体像が把握できていませんでした。しかし、ITパスポートの取得を通じて、WEBサイトの運用や開発に必要な知識を体系的に学ぶことができました。点と点がつながるような感覚を持つことができ、より深く理解することができました。
また、ビジネスサイドに関する知識を身につけることができたことで、デザイナーとしてだけでなく、クリエイティブな視点からビジネスを捉えることができるようになりました。
これにより、自分自身の人材価値を高めることができるだけでなく、プロジェクト全体の視点から物事を考えることができるようになったと感じます。
求人市場での評価について
まず、デザイナーとしてITパスポートの資格保有による評価については、「ITに関心があるということをアピールできる程度」であると思います。IT知識における入門レベルの資格であるため、今後の業務理解のとっかかりとして有効だということと、日常的に勉強を取り入れたい人のためのモチベーションに繋げる役割が大きいと感じます。
エンジニアの場合はITパスポートよりも1つ上の上位資格、基本情報技術者試験がありますので、ITパスポートで大きく評価が上がることは期待できません。
ITパスポートは国家試験としての側面も持っていますが、合格率が比較的高いため、希少性は低いという特徴があります。この点から見ると、求人市場での評価は高いとは言えないでしょう。
ITに関する基礎的な知識を体系的に学ぶことができるため、IT業界に関わることもあるデザイナーの私としては、プロジェクトの進行やコミュニケーション、技術的なことなど、業務上での不明点を潰すためのいい機会になりました。
総合的に見ると、求人市場での評価には限界があるかもしれませんが、自身のスキルアップにおいては十分な価値があると言えます。デザイナーでこの資格を持っていると、よりビジネスサイドに立ってクリエイティブな業務をこなせそうだと思われる可能性は高いと思います。
6.おわりに
ITパスポート取得を検討しているデザイナーへ
ITパスポート試験は、初めて資格試験に挑戦する方でも比較的合格率が高い国家試験です。もし、社会人になってから資格試験を受けるのが初めてであれば、不安を感じるかもしれませんが、そんな方こそ挑戦してほしいと思います。
正直、読んでて思ったのは「これから社会人になる大学生、高校生にもITの知識を習得する上で教科書レベルで読んだ方が良いのでは」ということです。
なんとなくWEBデザイナーとして業務を行っていたんだなというのが痛感させられた試験勉強でした。
ITパスポート試験に合格することで、自分自身のモチベーションが上がり、次のステップに向けての励みになることもあります。挑戦してみることで、自分に新しい可能性を見出すことができるかもしれません。
デザイナーとしてIT分野にアプローチする際の心構えやアドバイス
IT分野にアプローチするために、デザイナーとしてのスキルセットを広げることは非常に重要です。デザインにおいて、素晴らしいセンスを持っていることは大切ですが、IT分野ではそれだけでは足りません。ビジネスシーンにおいて、企業はセンスよりも知識力と理解力を求めていると感じます。
また、社会人になってからも勉強し続けることは必須です。テクノロジーは日々進歩しているため、新しい技術やトレンドを追いかけることが求められます。そこで、ITパスポート試験は、デザイナーとしての知識をアップデートするための優れた資格試験の1つです。
なりたい自分のデザイナー像に向けてのとっかかりとして、ITパスポート試験は非常にオススメできます。受験者がデザインに関わることが多い分野に携わっている場合、技術面でも習得する必要があります。ITパスポート試験を受けることで、IT分野における基本的な知識を身につけ、より広範なデザインの可能性を追求することができると思います。
ITパスポート試験は合格率が高いとはいえ、それでも国家試験であるため、挑戦することで大きなモチベーションに繋がるでしょう。デザイナーとしてIT分野にアプローチする際の心構えは、常に勉強し、成長し続けることです。ITパスポート試験は、その成長の第一歩にぴったりの試験です。ぜひ受験してみてください。